延長コードをコンセントに差しっぱなしにしていると、気になるのが「電気代がかかるのでは?」という疑問です。
確かに、延長コードそのものは通電しているだけで電気を消費することはありません。
しかし、その延長コードに接続されている電化製品が、スリープ状態やオフの状態でも電力を消費する「待機電力」によって、思わぬ形で電気代に影響を及ぼすことがあります。
この待機電力は一見わずかなものに思えますが、長期的に見ると無視できない電気料金の増加につながる可能性があるでしょう。
延長コードの待機電力とは
延長コードに複数の家電製品を接続している場合、それぞれの機器が使用していない間にも少しずつ電力を消費しているケースがほとんどです。
これが「待機電力」と呼ばれるもので、テレビや電子レンジ、パソコン、プリンターなど、日常的に使われる多くの機器がこの待機電力を発生させています。
たとえば、テレビのリモコン操作を受け付けるための赤外線受信部や、パソコン内部の時計やスタンバイ機能が動作していることで、微量ながらも継続的に電力を消費しているのです。
コンセント差しっぱなしの電気代の計算方法
待機電力の目安は製品やモデルによって異なりますが、一般的には1W〜10W程度の範囲です。
仮に1Wの待機電力がある機器を一日中放置すると、1W × 24時間 × 30日 = 720Wh(0.72kWh)となり、電気料金単価を27円/kWhとすると、0.72 × 27 = 約19.4円/月になります。
これだけ見るとたいしたことがないように思えるかもしれませんが、仮に10Wの待機電力がある機器を3台接続していると、10W × 3台 × 24時間 × 30日 = 21.6kWh、21.6 × 27 = 約583.2円/月と、金額は一気に増えていきますよ。
延長コード使用時の電気料金の平均
延長コードの使い方次第では、接続されている機器の種類や数、さらには使用頻度に応じて待機電力の合計は大きく変動します。
一般家庭において、待機電力による電気代は月額で数十円から多い場合は500円以上になることも珍しくありません。
特に複数の家電を同時に接続している場合や、電源スイッチのない延長コードを使っている場合は、その影響が大きくなります。
差しっぱなしの危険性と火事の原因
延長コードを長時間差しっぱなしにしておくことによる問題は電気代だけにとどまりません。
安全性の観点からも非常に注意が必要です。コンセントとプラグの接続部にホコリがたまり、それが湿気を含んで微小な電流が流れることでトラッキング現象が起こると、最悪の場合、発火に至ることがあります。
これは延長コードを長期間にわたって掃除せずに放置していたり、家具の裏側など目の届かない場所に設置されていたりする場合に特に発生しやすいです。
万が一の火災を防ぐためにも、定期的な掃除と点検が必要不可欠です。
節約できる電気代と省エネの効果
使っていない家電のプラグを意識的に抜くことや、スイッチ付きの節電タップを活用することで、待機電力を効果的にカットできます。
これにより、年間で数百円から多い場合には数千円単位の電気代の節約が可能になりますよ。
さらに、省エネ機能が付いた家電製品を選ぶことで、待機電力そのものを抑えることも可能です。
また、延長コードにタイマー機能や通電ランプがついている製品を使うことで、使用状況を視覚的に確認できるため、節電への意識が高まりやすくなるというメリットもあります。
各家電の消費電力と延長コード
エアコンや冷蔵庫の電力消費
エアコンや冷蔵庫は家庭内で最も電力を消費する家電のひとつです。
エアコンは冷暖房の運転時に数百ワットから数千ワットの電力を必要とし、冷蔵庫も24時間稼働しているため、年間を通じてかなりの電力を消費します。
また、これらの家電には待機電力も存在し、特に最近の高機能モデルでは各種センサーや通信機能により、電源オフでも消費が発生することがあるのです。
延長コードを用いてこれらの機器を接続する際は、コードの定格容量を超えないようにすることが極めて重要でしょう。
容量不足の延長コードを使用すると、発熱や火災のリスクが高まるため、できるだけ壁のコンセントを使うのが基本ですが、どうしても延長コードを使う場合は、PSEマーク付きで安全基準を満たした製品を選びましょう。
テレビやパソコンの待機電力
テレビやパソコンなどのAV機器や情報機器は、使用していないときにも電力を消費する待機電力の代表格でしょう。
テレビでは主にリモコン受信機や録画予約機能、ネット接続機能が、パソコンではUSBポートの電源供給やネットワーク接続待機などが待機電力の原因です。
これらの機器を1日中待機状態にしておくことで、月間で数十円から数百円の無駄な電気代が発生する可能性があります。
特に家庭内に複数台ある場合や、電源を切ったつもりでも「スリープ状態」になっている機器があると、その消費量は想像以上になるのです。
定期的に電源を完全に切る、または節電モードを設定するなどの対策が求められます。
充電器やその他の機器の影響
スマートフォンやタブレットの充電器、ゲーム機、スマートスピーカー、Wi-Fiルーターなど、現代の家庭にはさまざまな常時接続型機器が存在します。
充電器は小さなアダプターに見えますが、差しっぱなしにしておくだけでも電力をわずかに消費しているのです。
新しいモデルの中には、機器が接続されていない状態では電力をほとんど消費しない設計のものもありますが、古い製品や安価な製品では、常時数ワットの消費が見られることもあります。
また、ゲーム機やレコーダーなどの電子機器も、スタンバイ状態で相当量の待機電力を持つことがあり、合計すると年間で1,000円以上の電気代になることもあります。
家電による電気代の違い
家電製品ごとの待機電力や運転時の消費電力には大きな差があります。
たとえば、同じ冷蔵庫でも省エネ性能に優れた最新モデルは年間数千円の節電になることがあり、エアコンでも旧式のものに比べて高効率のインバーター式モデルは格段に電力消費を抑えることができますよ。
また、省エネ性能は「統一省エネルギーラベル」や「省エネ基準達成率」で確認できます。
買い替えには初期費用がかかりますが、長期的に見れば電気代の削減効果は非常に大きいため、古くなった家電は省エネ型へ更新することを検討してみましょう。
差しっぱなしの電気代をカットする方法
電源プラグの抜き挿しの重要性
使用後にこまめにプラグを抜く習慣をつけることで、待機電力を完全にカットできます。
これにより、見えない電力の無駄を防ぐことができ、月々の電気代にも確実に反映されます。
たとえばテレビやパソコン、充電器など、日常的に使わない時間が長い機器は、使用後すぐにプラグを抜くことで数十円〜数百円単位の節約が期待できます。
さらに、抜き差しによって機器の寿命を延ばす副次的な効果もあるため、一石二鳥の対策といえます。
無駄な電力消費の見直し
延長コードに接続されたまま使われていない機器がないか、定期的にチェックすることが重要です。
意外にも、何となく差しっぱなしになっている機器が多数存在し、それらが待機電力を消費し続けているケースがあります。
とくにゲーム機やオーディオ機器、電気ポットなどは、使っていないのに電力を消費していることが多いため、リスト化してチェックする習慣をつけるとよいでしょう。
また、使っていない延長コード自体も取り外すことで、配線の整理整頓にもつながり、安全性の向上にも貢献します。
電力会社のプラン比較と選び方
毎月の電気料金を見直すうえで、電力会社の料金プランを把握し、自宅のライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。
たとえば、夜間の電気使用量が多い家庭であれば、時間帯別料金が適用される「夜得プラン」や「時間帯別従量制」などを活用することで、年間数千円〜数万円の節約が可能になることもあります。
また、地域や住環境により選べるプランは異なるため、複数社のプランを比較し、キャンペーンや特典の有無も含めて総合的に判断すると効果的です。
電気とガスのセット割引など、総合的なライフラインコスト削減にもつながります。
生活習慣の見直しと電気代削減
日常の生活習慣を見直すことで、全体的な電力消費量を抑えることができます。
たとえば、使用していない部屋の照明や暖房・冷房をこまめに消す、洗濯や食器洗いを夜間にまとめて行うなど、簡単な行動の積み重ねが電気代削減につながりますよ。
また、冷蔵庫の設定温度を適切にする、照明をLEDに交換する、待機電力の少ない家電に買い替えるといった対策も効果的です。
家族全体で省エネ意識を共有することで、より継続的な節約が可能になります。
さらに、電力使用量の見える化(スマートメーターやアプリの活用)を行えば、自分の使い方のクセを把握し、無駄な電力をピンポイントで削減することもできます。
まとめ
延長コード自体は電気を消費しませんが、接続された機器の待機電力が電気代に影響します。
日常的に差しっぱなしの機器が多い家庭では、待機電力の見直しやスイッチ付き延長コードの活用など、ちょっとした工夫で電気代の節約が可能です。
安全性にも配慮しながら、賢く延長コードを使いましょう。